書店で偶然見かけた本で「WAGAIE」を知り、訪ねて来てくださったS様。「大きな水槽を置けるスペースが欲しい」「家事も育児も子育ても楽しめる、カッコいい家がいい」。いろんなワガママをカタチにしていくと、大人のインテリアが似合うモダンな雰囲気と実用的な暮らしやすさ、両方を兼ね備えたS様らしい住まいになりました。
ご主人の趣味は魚の飼育・鑑賞。それも「エンドリケリー」という大型の古代魚や熱帯魚など、かなり本格的なもの。「魚たちを見ていると、癒されるんです。だから家の中に水槽が置けるスペースがほしい」。そんなご主人のワガママに応えて、玄関ホールに作った「小さな水族館」。水槽の裏側にはメンテナンス用の部屋があり、外から直接出入りできるようになっています。
玄関を上がってすぐの窓際に、造作の棚を作りました。自然光が入るので、グリーンを飾ったり雑貨を置いてギャラリー風にしたり。季節に合わせて楽しめるコーナーになりました。
深い色あいと美しい木目が重厚感を感じさせる、ウォールナットの床材と軽やかな白。ゆるやかな曲線を描くアーチ天井が、気品と落ち着きを感じさせてくれます。テレビ台やパソコンコーナーの机や本棚なども、すべて大工さんの手づくり。S様のイメージをもとに、現場で作った一点ものです。ソファやダイニングなど家具は、少しレトロで軽めのデザインをセレクト。理想のリビングに近づけるよう、トータルコーディネートしました。S様、気に入っていただけましたか?
2本のなだらかな曲線が、楕円形を描くようにデザインされたアーチ天井。リビングや和室に座ったとき、キッチンに立ったとき、自然と目に入って気分を上げてくれる華やかさが魅力です。視覚効果で空間をより広く、のびやかに演出してくれます。
「リビングで勉強をするためのスペースが欲しい」という奥さまの要望により、棟梁が手づくりした机は、奥さまのご実家で保管していた無垢の一枚板を使っています。もとは寿司屋のカウンターだったというだけに、存在感抜群。歩き始めたばかりの息子さんが頭をぶつけないように机の角を面取りしたり、照明を付けたり。サイズも品質もどこにも売っていない、オリジナルな勉強机ができました。
ダウンライトとスポットで光源を確保
アーチ天井に埋め込まれたダウンライトと、白い天井を間接的に照らすスポットライト。小さな光をちりばめることでより空間に奥行きが感じられ、団らん、くつろぎなどシーンに合わせた照明効果を楽しむことができます。
S様邸には和室が2つあります。ひとつは客間として「魅せる和室」。そしてもうひとつが家族のための「多目的な和室」。リビングからひと続きになった客間は、シンプルモダンな雰囲気のS様邸をいい意味で裏切る、大胆なデザイン。「兜を飾りたいから、ちょっとくらい派手でもいい。カッコいい和室がいい」というご夫妻の要望により、金・赤・黒の和紙調壁紙をまとった装飾的な床の間を作りました。足元を彩る飾り棚は、勉強机で使った木の端材。格子や壁のデザインにも、棟梁の手仕事が光ります。
こげ茶色のシックなキッチンは、家族の様子を見ながら料理ができる対面式にしました。ウォールナットの床とも相性がよく、背面収納や食器棚も同色でまとめてすっきり。共働きなのでご主人もキッチンに立つことが多いそうですが、こんなカッコいいキッチンなら、料理の腕前もあがりそうですね。
外観に関してのS様のイメージは、シンプルモダン。
白×グレーを横並びに配色した外観は、シンプルな中にも
どこか個性を感じさせるデザインになりました。
S様のライフスタイルに合わせて取り入れたのが、玄関から廊下沿いに「シューズクローク→洗面→浴室」と一直線に続く生活動線。紙の製造業に携わるご主人の「靴を脱いで手を洗って、サッパリしてからくつろぎたい」という要望から、廊下を隔てて水まわりとLDKを分ける間取りにしました。空間を別にすることでオンとオフの切り替えができ、「家事もすごく楽なんですよ」と奥さま。まさに一石二鳥の、効率的な間取りなのです。
水まわりとキッチン、両方から入れる家事室にはなんと畳スペースが。とりこんだ洗濯物をたたむのって、そういえば座ってしますよね。たたんだ衣類をそのまま収納できる棚もつけて、家事時間もずいぶん短縮されそうです。