引き戸式の玄関扉を開けると、お客様を迎えるのにふさわしい、ゆったりとしたホールになっています。上がり口と天井が台形で、しかも対になったデザインがポイント。すっきりと洗練された印象に加え、視覚効果で空間がより広く感じられます。
- リビングドア横のちょっとしたスペースには、スリッパなどを収納できる収納庫(こちらも台形!)を。そして壁の一部には、カラフルなモザイクタイルをあしらいました。シェル製のタイルは窓からの外光でキラキラと輝き、来る人をもてなしてくれます。
- ふと天井を見上げると、長方形を白とこげ茶で2つに切り取ったような、ありそうでない大胆なデザインになっています。表し梁とダウンライトの組み合わせで、大人の空間を演出しました。
玄関ホール正面にあしらった格子には、ちょっとした秘密が。実は、階段室と玄関ホールの間仕切りとしての役目もあるんです。暗くなりがちな階段室が、明るい空間になりました。
「基本、シンプルが好きだけど、どこかに自分らしさを表現したい」。
そんなお施主様のご要望に応えて、提案させていただいたのが格子のあるリビング。
見る角度や時間帯によって、さまざまな表情を見せてくれる格子は、伝統的でありながらモダン。
天井や壁に取り入れることで、空間に変化と「華」が生まれました。
- リビングと和室との間の天井に、空間をやわらかく仕切る格子をあしらいました。洋風のリビングと「和」が違和感なく調和し、しかも和室に「茶室」のような風情が加わったのはうれしい発見でした。ひと続きのスペースでも違う空気感が漂うのは、まさに格子天井のマジックです。
- ステンレスの窓枠やテレビの質感ともマッチし、視線が集まるビューポイントになりました。人が集まるリビングだから、少しラグジュアリー感を演出しています。
- ウォールナットの床に合わせて、コクのある茶系でトータルコーディネイトしたキッチン。奥様の要望で、キッチン側にパントリー、ダイニング側にウォークインクローゼットを設けました。食品ストックや衣類など普段よく使うものが1階にまとめて収納できるので、家事もグングンはかどりそうです。高低差をつけた折り下げ天井が、リビング側から見ても絵になります。
- 木目が美しいため、古くから高級家具材や工芸用材として用いられてきた木材で、乾燥後はほとんど狂いを生じないという特性を持っています。マホガニー、チークと並び世界三大銘木に数えられています。1階のフロアーには、全て無垢のウォールナットを使用しています。
- ダイニングを囲むように、大工が手作りした造作の棚。コーナー部分は、ちょっとした作業机になるよう照明も付けました。家事の合間に雑誌を広げたり、子どもたちがお絵かきを楽しんだり、窓の外を眺めながらホッとひと息つけるコーナーになりました。
キッチンとリビングをつなぐ空間に、ワークスペースを作りました。キッチン側の壁は空気をきれいに保ってくれるデザインタイル「エコカラット」を使用。
ちょっと調べものをしたり、仕事をしたり。オープンな書斎のような雰囲気になりました。座り心地のいい椅子やお気に入りの小物を飾れば、作業も楽しくなりそうです。
- ひと手間加えることにより、和室には上質感が生まれました。手仕事の妙が光る「網代天井」(あじろてんじょう)は、茶室のような風格を醸し出し、落ち着ける空間に。琉球畳やデザイン的な床の間と組み合わせることで、華やかさもプラスされました。
配色はお施主様の好みに合わせてチョイス。
歳月を経てもいい味わいになりそうです。
- トイレや手洗い器は、デザイン、機能ともにこだわって選んだインポートもの。毎日使う場所だからこそ、気持ちよく―。水まわりに施したモザイクタイルがアクセントになった、オシャレな空間になりました。
白い外壁と屋根のすっきりしたライン。1階と2階の窓に配置した大小の「格子」。
主張し過ぎず、個性を表現する―。その絶妙なバランスを追求したら、伝統とモダンが調和した、美しい住まいになりました。